話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選
ルール
・2020年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
- ミュークルドリーミー 28話『まいらマイラブ♡』
- キラッとプリ☆チャン 120話『大ショック!ラビリィの本当のご主人様ラビ!?』
- 魔王学院の不適合者 4話『十五の誕生日』
- 遊戯王SEVENS 14話『ロミン’sキッチン』
- 体操ザムライ 6話『親子ザムライ』
- 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… 8話『欲望にまみれてしまった…』
- ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 13話『みんなの夢を叶える場所(スクールアイドルフェスティバル)』
- 波よ聞いてくれ12話『あなたに届けたい』
- 魔王城でおやすみ 10話『姫とオワリノシティ』
- 群れなせ!シートン学園 8話『海の吟遊詩人 -カナとルカの話-』
ミュークルドリーミー 28話『まいらマイラブ♡』
脚本 金杉弘子
絵コンテ 桜井弘明
演出 石田美由紀
作画監督 大木良一、坂本哲也、古木舞
ぬいぐるみ作画監督 古木舞
この28話はミュークルドリーミーの魅力、そして月島まいらちゃんの魅力が全部詰まってると言っても過言ではないです。
28話のあらすじをザックリ説明すると、まいらちゃんのお母さんは既に亡くなっていると判明し、しかもお母さんの命日はまいらちゃんの誕生日と同日だった、というかんじです。
だからといって暗い空気になるなんてことはありません。いつも通りミュークルドリーミーは明るくハイテンポな会話劇を繰り広げ、まいらちゃんもいつも通り明るく元気に過ごします。
いつも通りの回。
いつもの調子で進行していく。
途中、お母さんのお墓参りに行ったり、まいらちゃんの夢の中でお母さんの容体が悪化していく過程、お母さんが亡くなった後の月島家が描かれます。しかし決定的に悲しいシーンは一切描写されないんです。強いて言えば、まいらちゃんのお父さんが隠れて泣いてるシーンくらい。しかしそのシーンも鳴き声をメソメソポタポタとし、すぐに明るく立ち直っています。正直自分はお父さんが泣くシーンでもう耐えられませんでした。でもまいらちゃんはそんなお父さんの姿を察しても、明るく元気に振る舞います。
友だちから見ても悲しい素振りも寂しさも全く見えずいつも明るく元気なまいらちゃん。でもそんなまいらちゃんでもやっぱり悲しくなったり寂しくなることはあります。まいらちゃんが泣くのは眠りにつくときだけ…
.
終盤はずっと涙無しではいられませんでした。
絶対に悲しい空気は出さないといった制作陣の強い意志を感じるこの回。それでいて30分のTVアニメでここまで人の機微を表現した手腕は見事です。
ミュークルドリーミーを観ていて良かったと思うばかりです。
キラッとプリ☆チャン 120話『大ショック!ラビリィの本当のご主人様ラビ!?』
脚本 大場小ゆり
絵コンテ 松園公
演出 米田光宏
作画監修 斉藤里枝、川島尚、青木康哲、宮崎輝、島田さとし
プリ☆チャンライブ演出 安藤尚也、川瀬まさお、江副仁美
正直プリチャンから選ぶならもっと他にあるが、この120話で焦点を当てられた茶釜松らいあというキャラの虚言癖ぶりの描かれ方、またそんな彼女に対する周囲の反応に生々しさを感じ、とても印象強く残ったためこの回を選んだ。
嘘がバレた際のクラスメイトたちの「やっぱりそうだよ」「また嘘なんだ〜」「嘘つくの良くないよ」といった反応にはしんどさが襲ってくる。また頻繁に親しげにクラスメイトたちの方から声を掛けてきてはくれるが、その後に一緒に行動することも帰宅することもない、一定の距離感があるのが更にしんどい…
『茶釜松らいあ』という嘘に固められた名前に制作陣の悪趣味さが光ります。その名の通り、一部照れ隠しと捉えられる言動はあるものの、終始嘘しかついていない。
一応お話自体は綺麗に纏まり、今後は嘘つかないといいねと、未来の茶釜松らいあの意志に託した形で終わります。
魔王学院の不適合者 4話『十五の誕生日』
脚本 田中仁
絵コンテ 田村正文
演出 関根侑佑
総作画監督 山吉一幸、平田和也
作画監督 大槻南雄、古谷梨絵、船越麻友美、水﨑健太、久松沙紀、竹森由加
大沼監督らしい画面演出が炸裂した第4話!この画面演出にアノス様のカリスマ性、挿入歌にEDテーマ『ハミダシモノ』が重なった一連のシーンには痺れまくり!!
遊戯王SEVENS 14話『ロミン’sキッチン』
脚本 山口宏
コンテ・演出 いまざきいつき
3D演出 橋本直人
総作画監督 福島勇
作画監督 長尾浩生
ロミンちゃんがかわいい。あざとい。かわいい。
遊戯王SEVENSからは他にも選びたい話数がたくさんあるくらい魅力的でとても楽しませてもらったお話があったが、それらを差し置いてでもロミンちゃんの可愛さを選んでしまった。正直セブンスの特異性が際立っている安達ミミ関連のエピソードを選びたかったところではあるが、ロミンちゃんの可愛さには勝てなかった……
この回ロミンちゃんの一挙一動全部アザトカワイイ!更にそこに料理知識の極端な乏しさからなるボケが連鎖して、終始にやにやが止まらない!
いまざき監督による間の取り方と妙なレイアウトにも注目!
体操ザムライ 6話『親子ザムライ』
脚本 村越繁
絵コンテ 松田清
演出 後藤康徳
総作画監督 崔ふみひで
作画監督 本多みゆき、𠮷田正幸、藤田亜耶乃、小野田貴之、松岡秀明、冨永拓生、村長由紀、柴田志朗
主人公荒垣城太郎の生き様を描くと同時に、そんな彼の拠り所である娘の玲を中心にホームドラマを描いた本作。個人的に特に本作のホームドラマ要素が好きで、虚構性の高いキャラたちによる掛け合いはとても楽しく、時にほっこりさせられた。
この6話は「わたし、本当は自転車に乗れないんだよ!」という玲の告白が象徴的で、親子交流の象徴的ともいえる“自転車の乗り方”を用いた玲の我慢の描写にはとても心を動かされた。ここまで話の積み重ねてきたからこそとてもインパクトあるエピソードになったと思う。
ビッグバードがフライドチキンを食べたのには笑い事ではないが笑ってしまった。
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… 8話『欲望にまみれてしまった…』
脚本 笹野恵
絵コンテ 相澤伽月
演出 板庇迪
総作画監督 大島美和
作画監督 澤入祐樹、井本由紀、大槻南雄、山本恭平
令息令嬢方の欲望を反映したカタリナ様ヒロインの妄想劇場、そしてその妄想をただ眺めるだけしか出来ずケオるメアリ様を画面越しに観るのはとても楽しい。
ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 13話『みんなの夢を叶える場所(スクールアイドルフェスティバル)』
脚本 田中仁
絵コンテ・演出 河村智之、ほりうちゆうや
ダンスパート絵コンテ・演出 河村智之
総作画監督 横田拓己、冨岡寛、渡邊敬介
作画監督 市原圭子、井元一彰、伊礼えり、尾尻進矢、加藤明日美、北島勇樹、木村文香、工藤ゆき、合田真さ美、清水文乃、とみながまり、冨吉幸希
ダンスパート作画監督 佐藤浩一
作画監督補佐 粕川みゆき、三沢聖矢
ソロでのパフォーマンス、応援してくれるファンの存在を描いてきた本作の総決算となる13話。
ファンに後押ししてもらったように、今度はアイドルがファンのやりたい事の後押しをする。アイドルとファンの共生関係が形成され、ラブライブ!が掲げる「みんなで叶える物語」を体現したお話となった。またそのテーマを体現できた“みんな”で作ったスクールアイドルフェスティバルはサブタイトル通りまさに「みんなの夢を叶える場所」。これまで1人1人のミクロな夢を描いてきた虹ヶ咲だからこそ、やり遂げられた物語だと思う。
そして披露された『夢がここからはじまるよ』は今までそばで応援してきた侑に、そして画面の向こう側のここまで観てきた自分へのエールとなっており思わず目頭が熱くなった。
.
『夢がここからはじまるよ』のライブ映像では、「虹ヶ咲スクールアイドル同好会」のタイトルを文字通り虹ヶ咲のスクドル1人1人が背負っているカットが連続しており、これはソロ志向である虹ヶ咲らしさがよく出ているものだと思った。
侑ちゃんと9人それぞれのカットインには、視聴者が知らない思い出を感じさせられ、作品により深みを感じる。
.
お台場アニメであるのだしユニコーンも映らないかなと思っていたら、まさかのこの13話でかなり目立って描写され、更にはサイコフレームが緑色に光り、文脈に沿った演出をされていたのがよかった。
波よ聞いてくれ12話『あなたに届けたい』
脚本 米村正二
絵コンテ・演出 南川達馬
作画監督 岡﨑洋美、粕川みゆき、神谷美也子、高橋あやこ、徳永竜志、冨吉幸希、久松沙紀、吉田雄一、吉山隆士
ラジオを題材にした作品として最高の最終回でした。
3.11の頃はネットも繋がらず、ずっとラジオを聴いていたので自分的にかなり刺さる所もありましたね。
魔王城でおやすみ 10話『姫とオワリノシティ』
脚本 中村能子
絵コンテ 斉藤哲人
演出 野木森達哉
作画監督 久保茉莉子、中田亜希子、瀧原美樹、鈴木彩乃、立口徳孝、熊谷勝弘
総作画監督 菊池愛
10話は本作では珍しく魔王城でおやすみしていないお話なのだが、魔族たちは慣れない人間界で戸惑い時にははしゃぎ、姫様はいつもの調子ではあるがやや常識人ポジ(?)にいるなど、普段とはまた違う一面を覗ける回だった。
ホームである魔王城を飛び出したことで、魔族たちの人間たちへの苦悶が浮き彫りになる。だからこそここまで共に過ごしたから出来た姫と魔族たちの確固たる関係や、姫の魔族たちへの信頼の高さがより窺えるものとなっており、今後の人間と魔族の関係にどこか希望を持てるようなお話になっていたのがよかった。
とにかくかわいいんですよね、スヤリス姫も周りで見守っている魔族たちも。
群れなせ!シートン学園 8話『海の吟遊詩人 -カナとルカの話-』
脚本 福田裕子
絵コンテ 信田ユウ
演出 大島克也
作画監督 水野隆宏、大原大
作画監督補 片岡英之
総作画監督 酒井孝裕
動物作画監督 永山恵
シートン学園は一貫して異種族間の交流を描いた作品で、8話ではシロイルカとハンドウイルカのコンビによるシンクロパフォーマンスが見せ場として描かれている。
シロイルカは歌で、ハンドウイルカは泳ぎで互いに高め合っていき、“2人なら最強!”とばりに最高のパフォーマンスを披露するんですけども、このシンクロパフォーマンスのシーンは謎に感動…言葉に表せない感動体験が出来るんです!未見の方は是非観て欲しいです。メインスタッフはキラッとした方々なので安定して面白いので是非。